巧みな物語に唸れ!ミステリー・サスペンス映画8選+おまけ

もくじ

ちょっと今年暑さが早すぎる。最近本当に何もできなくてやべーーと思いつつ暑さにやられまくっている藤田です。

今回も恒例の映画紹介ブログやっていきます!
今回のテーマは「ミステリー」「サスペンス」作品。巧みな伏線やどんでん返しが散りばめられた、物語に潜む謎が面白い作品たちを持ってきました。そして大体事件が起きるジャンルの性質上、グロ系までは言わずとも人が傷ついたり亡くなったりする描写はどの作品にもあるので、苦手な方はご注意を。
ちなみに今回のテーマはリクエストいただきました、ありがとうございます!!

真夏の方程式

映画のガリレオシリーズでこれが私は一番雰囲気が好き。海が綺麗な田舎の町で、旅行客の転落死が起きる。事故と思われたその調査のうちに、昔起きた殺人事件との繋がりが見えてきて……というお話です。うだるような夏の暑さと夜の匂い、青い海と空、ほんのり漂う不穏な気配と人のあったかさと子どもの無邪気さひと夏の冒険が、悲しいほど綺麗に重なって物語の縦軸が見えてくる構成がすごく美しい。確信の部分を、わりと明確に匂わせてはいるけれど明言というよりは、こちらに解釈を任せてくる塩梅も絶妙で、余韻が味のある一作です。

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

訳アリの親族・使用人が集う豪華絢爛なお屋敷!遺産相続でのいざこざ!現れる名探偵とやがて明らかになる想定外の謎とは!?と、今日び珍しいくらいのド王道ミステリーを気持ちいいくらい豪華キャストと演出でやりきってくれる楽しい作品です。キャラもこってこてかつ、そこにちょっとイメージから裏切ってくる要素をスパイス的にいれてきたり、豪華な画面作りと愛すべきキャラクターたちとずっと動き続ける物語で魅せてくれる楽しい一作です。

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊

ミステリーならやっぱりアガサ・クリスティ作品は外せない。今回は画面作りが特に印象的で独特な一作を持ってきました。霊媒師のトリックを見抜こうと参加した降霊術のイベントで起きる不可解な殺人と、話しの面白さもさることながら、静謐な水と夜の闇に満ちた静かな画面の抑えた色味や極端な画角でどきっとする不思議な画面を見せてくる演出が私は結構好きです。事件の謎解きと、それに絡む降霊術や幽霊などオカルトっぽい要素もあって、雰囲気満点な良作!

あの人が消えた

配達員の主人公が、いつも荷物を届けにいくマンションに住まう人たちのちょっとした違和感にあれ?となって段々その人たちのいろんな関係や姿が見えてきて……と、途中まではゆるめで起伏が不思議なちょっとシュールなコメディに謎をちりばめてみたいな雰囲気なのが、終盤がらっと一変するまさにどんでん返しが巧みな作品です。個人的にシュールで不思議とのんびーりした途中までの雰囲気は『亀は意外と早く泳ぐ』というコメディ映画に似たものを感じたり。ちなみに、今回紹介している作品群の中に、この作品と同じタイプの仕掛けをしている作品があります。そっちを知っていてこれを見るとわりと早めにちょっとピンとくるかもね。

search/サーチ

消えた娘を探すために、娘のパソコンを覗いたら全然知らないその姿がそこにあって……と、パソコンや各種SNSの画面をずっと見ながら進行していく面白い演出のミステリーです。主人公と一緒に画面を覗くように、映画はずっとパソコンの画面上で進んでいくので一人称始点のゲームのような、自分もそこにいるような臨場感と緊張感が面白い。画面がずっとパソコンしか見えないなら変わり映えなくてつまらなくない?と思うなかれ、SNSの画面や写真、ニュース映像を流したりと、パソコン一画面が映っていることを忘れるくらいちゃんと動きがあります。

落下の解剖学

フランスの片田舎、ある冬にとある家の傍で遺体が発見される。疑いがかかる妻、裁判を通して明らかになる家族の不和だったり、被害者容疑者加害者?にそれぞれ見えてくる側面、そしてあくまでそれは裁判で持ち出され切り取られた恣意的な物語で、見えてこない本当の部分ってなに?と考えさせられる一作です。明確な答えはなく、行間を委ねてくるので、好みの分かれる作品でもある。心の余裕がある時にご覧ください。あとこの映画、犬の芝居がうますぎる。

シックス・センス

サスペンスやミステリー、なんならホラーとも言えるような緊迫感と一気に盤面をひっくり返してくる物語の仕掛けが巧みなシャマラン監督の代表作とも言える作品です。死者が見えるという少年と、彼をカウンセリングをする精神科医の二人が、死者たちのいろんな未練や思いを叶えるために奔走します。その中で、少年の母親への複雑な感覚や、精神科医がかつて救えなかった患者に抱える感情と向き合っていって……という話。その辺はまあ面白いけどベタな話と思うかもだけど、なんでこれが代表作と呼ばれているか物語にとんでもない仕掛けが秘められています。有名な作品で、ネタを知らない人は逆に幸運なので、一切情報を入れずにとりあえず観よう。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

世界が待ち望む超大作小説の発表前のネタバレを完全に防止するために、翻訳作業に集められ外部と完全に隔絶された翻訳家たち。そんな中でも外部の人間が知り得ない情報のリークが起きて、つまり犯人はこの中に?と閉鎖空間で進む疑心暗鬼、内部で起きる事件、この一連のリークや事件と物語に込められた意外な目的が見えてきて……ともう設定がめちゃくちゃ面白い良作!言語のプロフェッショナルな翻訳家たちが、怪しい相手に真意を悟られないようにいろんな国の言葉で作戦を経てたりする姿も楽しいし、結末もぐっとくる素敵な作品です。

おまけ。ババヤガの夜

映画じゃないんですが、ミステリー作品で最近快挙を成し遂げた傑作をついでに一つ紹介します。
英国推理作家協会のダガー賞という、世界でもかなり権威のあるミステリー作品の翻訳部門で、日本のミステリー小説が受賞しました!!しかもこれがバリバリにシスターフッドで家父長制ぶっ潰せなエネルギーに溢れたフェミニズム要素のある傑作が選ばれた事の意義たるや!めちゃくちゃ勇気づけられる嬉しいニュースです。

お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う――。暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。拳の咆哮轟くシスターハードボイルド!
by 公式サイト

という最高のあらすじなんですが、暴力や裏社会がテーマとなっている作品なので、かなりハードな暴力(物理的にや、その他の意味でも)や生々しいしんどい場面の描写があるので、得意ではない方はご注意。この護衛役の人と、お嬢さんのお互いの生きる意味なんでここにるかアイデンティティの問いかけみたいな自分への向き合い方と、お互いへ向く感情や連帯の結びつき交差していく人生の描き方が本当にいい。傑作です。


そんな感じで、映画8本+おまけの紹介でした。
なお、社内のメンバーにおかれましてはこんなテーマの映画が知りたい!などなどリクエストもいつでも募集中ですので、リクエストありましたらslackの雑談チャンネルなどでお気軽にお声がけくださいませ。
ここまで読んでくださってありがとうございました!